すべては、土からはじまる。
熊本県宇城市不知火町の土地に根を張って果樹を育て、
ともに育っていく2人の物語は、まだはじまったばかりです。
うちやま果樹園
内山貴博Takahiro Uchiyama
うちやま果樹園
内山貴博Takahiro Uchiyama
うちやま果樹園の代表。趣味は、バイク、ダーツ、DIY。心がけていること/果物は嗜好品なので、美味しさにこだわっており、美味しくなるまでは出荷しません。ただ美味しいだけじゃなく、感動してもらえるようなフルーツを作ることを目指しています。
のむちゃん農園
野村和矢Kazuya Nomura
のむちゃん農園
野村和矢Kazuya Nomura
東京中央卸売市場で就職後、地元(熊本県宇城市不知火町)に戻り、家業である果樹園に就農し4代目となりました。資格/野菜・果物ソムリエ・食の検定・食育アドバイザー・衛生管理責任者。美味しい・安心は当たり前とし、栄養価の高いフルーツを育てます。
野村:この町で生まれて、時が経つごとに町からどんどん人が出ていってしまう環境の中で、子供たちや次の時代に「どうやったら繋げられるか」考えたんです。ここにはフルーツを育てている農家の人たちがたくさんいるので、みんなでチームを組んで、町をもう一度盛り上げられたらと思って。
内山:不知火町松合地区は、昔は漁業や醸造で栄えた町なんです。江戸時代は「松合千軒」と呼ばれるほどに家がぎゅうぎゅうに建っていたような土地で、あまりに家との距離が近いので、火事が多かったらしいんですね。当時、燃えにくい壁として工夫された白壁が、今でもまだ町並みとして残っているんです。
野村:この町と景色を昔からずっと守ってきた方々がいて、「松合白壁町並み保存会」という団体をつくって活動を続けてくれたおかげなんです。だからこの町を残していきたい想いを土台に、これからは僕たち農家が引っぱっていく番かなとも思っています。
内山:今後30年ぐらいを見据えたときに、後継者も含めて考えてみると、今から残っていくのは農業が多いんです。だからこそ農業の土壌の上に成る作物のフルーツを使って、この松合が発展していけばいいなと思っていて。「on the soil」という言葉には、そんな意味も込めています。
野村:農業、漁業、醸造の町、これを土(土台)としたときに、その上に出てくる次のものを求めてもいるんです。みんなが考えたものが芽となり実となって育っていく。そうやって食べた人が感動してくれるような作物づくりを目指して、日々、肥料にこだわって土をつくり、果物を生産しています。
内山:on the soilは何より土にこだわっているので、その土から出てくるものは間違いなくいい。そう言ってもらえるように、年間を通してつくったフルーツを生産販売し、お客さんに届けていけたらと思います。
野村:僕は約23種類ほどフルーツをつくっていまして、1年中いずれかのフルーツが採れるようにしています。農園が海沿いなことを利用して、化石サンゴや魚粉や海水などを土に散布して、より美味しいものをつくれるように努力しています。畑も斜面の地形を活かして太陽の光、斜面に当たった照り返しの光、海に反射した光と3つの光が当たるように考えて栽培しているんです。
内山:僕は不知火(デコポン)と温州みかんとぶどうを育てていて、ぶどうの品種はシャインマスカットと巨峰とピオーネを栽培しています。除草剤を使わないで草を活かして栽培することで湿度を保てるので、何十億もの微生物が活発になって土の中が良い環境になり、土が団粒化して根を張りやすくなるんですね。たくさんの根から肥料分を吸えることで、作物まで栄養成分が潤沢に行きわたって美味しくなるんです。
野村:美味しい味を求めてさらにいい土づくりをできるよう、日々、試行錯誤を繰り返しています。「定点分析」と言って、土壌の中を分析して、この時期になんの肥料成分があるか?などを定期的に調べたりもしています。科学的な根拠をもとに美味しい味が再現できたらと思って、仲間とグループをつくって試している最中です。一方で販売すると今はもうお客さんの顔が見えるので、食べてもらってコメントをもらったりと、そこも励みにもっと美味しい味を追及していきたいです。
内山:数値を指標にしつつも、どんなに数値が良くても食べたときの食感・食味が一番大事だとも思っています。直接販売することによって、お客さんから「美味しいよ」と言ってもらえるとつくりがいもありますし、また来年もっと美味しいものをつくりたい、という気持ちの循環にも繋がるんです。
うちやま果樹園
内山貴博Takahiro Uchiyama
公式
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うちやま果樹園の代表。趣味は、バイク、ダーツ、DIY。心がけていること/果物は嗜好品なので、美味しさにこだわっており、美味しくなるまでは出荷しません。ただ美味しいだけじゃなく、感動してもらえるようなフルーツを作ることを目指しています。
こだわりポイント
1. 特別ブレンドの有機肥料を与えた、健康な木づくり
果樹は木なので収穫するまでに4~5年ほどかかり、長く関わっていくものです。木に負担をかけすぎないように成らせる実の量を調整して、樹勢をコントロールしています。
2. 雑草を利用した「草生栽培」
除草剤を使用せず、草をある程度まで伸ばしてから草刈り機で除草する栽培方法です。除草された草が有機物となり、土壌中の微生物が活性化してフワフワの土になります。
3. フルーツが一番美味しくなる「食べごろ」
不知火(デコポン)は年末に収穫して、貯蔵庫で追熟させます。収穫時には「酸」が高いので、追熟させることで酸味が抜けてきて、糖と酸が絶妙なタイミングがやってきます。
4. 出荷タイミングへのこだわり
園地ごとに出荷できるタイミングが違いますので、園地ごとの不知火を毎日食味して、味の変化を確認しています。
5. 土壌分析と作物体分析の定点観測(※作物ごとに回数は変わりますが、1年間で8回程度)
土壌分析とは、土を分析してくれる会社へ土を提出し、その土に含まれる肥料成分を数値化してもらうことです。作物の生理が動くときに必要な肥料成分を知りたくて定点分析をしていますが、土壌中の成分が目に見えてわかるので、足りない成分を必要に応じて補えるようになりました。
のむちゃん農園
野村和矢Kazuya Nomura
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東京中央卸売市場で就職後、地元(熊本県宇城市不知火町)に戻り、家業である果樹園に就農し4代目となりました。資格/野菜・果物ソムリエ・食の検定・食育アドバイザー・衛生管理責任者。美味しい・安心は当たり前とし、栄養価の高いフルーツを育てます。
こだわりポイント
1. たくさんの太陽の光を浴びた、美味しいフルーツ
汐風が吹く海岸沿いの山の斜面で栽培することで、海面や石垣から反射した太陽の光を様々な角度から浴びて、甘さを生み出してくれます。
2. 海の恵みをふんだんに使用
魚・貝・カニ・サンゴ・ワカメ・海水など、海の幸を肥料にした元気な土から育てることで、美味しい果物ができます。土づくりは微生物の多様性をテーマに取り組んでいます。
3. 樹齢30年以上の木
大切に育てることで、美味しい実を成らせてくれます。品種によっては、樹齢が高いほうが最高の実ができます。
4. 食べて美味しいと感じるフルーツしか育てません
できるかぎり樹上完熟をさせてからの出荷となります。
5. フルーツは衝撃を与えないように丁寧に扱います
選果機などは使わずに、一つ一つタオルで拭いてお客様に届けます。手間はかかりますが、採れたての爽やかな味を感じられます。
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